三井住友VISA太平洋マスターズを語り尽くす、スペシャルインタビュー!

2022年10月25日コラム



日本ゴルフツアー機構 選手会長
谷原秀人プロ 
スペシャルインタビュー


ーー「三井住友VISA太平洋マスターズ」は今年で50年の節目を迎えます。

国内男子ツアーのなかでも特に長い歴史を誇るトップトーナメントで、賞金王のゆくえを左右する、非常に大きな大会です。今年は選手会長として迎える初めての大会になりますし、いつもにも増して身が引き締まる思いです。

ーー本大会では2度優勝されていますね。

ゴルフに本気で取り組み始めた10代のころから、「三井住友VISA太平洋マスターズ」は憧れの大会でしたから、その舞台に立つことを熱望していました。しかし、2002年の初出場から初勝利まで、11年も掛かってしまいました。数あるツアーのなかでも、絶対に獲りたい大会だったので、2013年に初めて優勝したときの喜びは格別でした。

ーー大会の歴史のなかで、特に印象に残っていることはありますか?

国内勢では、尾崎将司プロ、中嶋常幸プロ、青木 功プロといった、多くのきら星のような名選手が大会を彩っていますが、個人的には1996年から3連覇を果たしたリー・ウエストウッド プロ(イギリス)のインパクトが大きかったですね。彼は外国人に多いパワーで押すタイプではなく、アプローチやパットのスキルが高い。かつゴルフIQが高いといいますか、競った展開になっても実に勝負強い。しかも、49歳になった現在もトップレベルで活躍し続けています。私も見習いたいですね。

ーー太平洋クラブ御殿場コースについてはいかがですか。

4年前の大改修を終えて、難易度がぐっと上がりました。戦略性が増し、有名な高速グリーンにも磨きが掛かったと思います。海外ツアーに出場して初めてわかったことですが、これほど速いグリーンは、数えるほどしかありません。「名コースは選手を育てる」という格言がありますが、御殿場はまさに選手を成長させてくれるコースです。また、美しい富士山と紅葉が彩る景観も素晴らしいですね。世界に誇ることができる、日本を代表する名門コースではないでしょうか。

ーー大会を制するための条件は?

難コースを攻略する技術やパワーは重要ですが、一方でゴルフはメンタルなスポーツでもあります。長い時間ストレスと向き合う必要があり、スコアを伸ばし続けるには強い精神力が求められます。4日間のうち一打でも集中を切らしたら、最終日に「あのショットさえなければ……」と後悔することになる。体力と技術に精神力が備わって、初めて勝ち切ることができるんです。

ーー本年度は賞金ランク上位に若手が多く食い込んでいますが……。

近年、ゴルフの進化のスピードはますます加速しています。かつては書籍や雑誌でしか得られなかった海外の最新理論や情報、データが、いまでは簡単に入手できるようになりました。若手選手の技術の高さは、そうした環境の変化も関係していると思います。そのスピードに付いていくためにも、自分のゴルフを常に見つめ直し、アップグレードしていかなければと考えています。とにかく、日々精進です。

ーーご自身のなかでさらなる進化をめざすところとは?

いろいろあるのですが、個人的に今年のテーマだったのがスイングの改造です。シーズン当初から試行錯誤をしてきましたが、夏ごろから考えている距離と球筋が出せるようになってきました。あとは私の強みであるグリーンまわり。御殿場コースの速いグリーンをしっかり攻略できるよう、入念に準備をして臨むつもりです。貪欲に3度目の優勝を狙っていきたいですね。

ーー今回は大会史上初の「全日入場無料」となります。初めて生観戦する方も少なくないと思いますが、観戦のポイントがあれば。

メジャーな大会になればなるほど、上がり3ホールに注目が集まりがちですが、「三井住友VISA太平洋マスターズ」の場合は、中盤あたりがカギだと私は考えています。特に5番から12、13番まで。ここで2つ、3つスコアを伸ばすことができれば、優勝戦線に食い込むことができ、逆に落とすと厳しくなります。序盤の緊張が一瞬緩みがちになる中盤戦で、実は大きな差が付くんです。ぜひ注目してご観戦ください。

ーー来場客に向けて、最後にメッセージを。

太平洋御殿場コースは、日本を代表する風光明媚なコースです。秋の紅葉や富士山を眺めながら、プロの熱戦とともに風や芝の匂いを感じてください。ゴルフファンの方はもちろんですが、秋の行楽の目的地として、ぜひご家族で足を運んでいただきたいですね。 (談)


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●プロフィール
■たにはら・ひでと 
1978年、広島県尾道市生まれ。 2002年プロデビュー、翌年初勝利。ツアー通算16勝。
今年1月に日本ゴルフツアー機構(JGTO)選手会長に就任。
三井住友VISA太平洋マスターズでは、’13年、’21年と2度の優勝を果たしている。

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